外回りは補習や調整がメインで殆ど既存のままです。細い路地に面した町家然とした佇まい。入口には冷暖房の効きを考慮して建具を設置。内部と分断されるような建具にはしたくなかったので、鴨居を新設して上部は透明ガラスハメ込みとした。玄関。床は杉赤太のフローリング。既存の古材と馴染むように、着色ではなく、化学反応で黒っぽく変色する塗料を使いました。これからもっと味が出て来ると思います。杉のメインカウンター。ここに地元食材でつくられたおかずが並びます。ここは床と打って変わってクリアー塗装。食べ物が並ぶところなので、明るく清潔な感じにしたかった。うまく馴染んでます。懐かしい雰囲気の店内。とても落ち着きます。縁側。小さい庭だけど、程よく間接光が入り込んできて柔らかい雰囲気になってます。縁側建具のガラス。既存の建具にアンティークの歪みガラスを入れました。店内のあちこちに、施主所有の古箪笥や小物があり、見た目にも楽しめます。施主が譲り受けてきた古い竈を手直しして設置。松煙モルタルで仕上げました。小ぶりの竈なので深い黒色が程よい重厚感です。表のサイン。小ぶりで可愛らしいものを作ってもらいました。最後に 開店祝いにさし上げた品品さんのコケ盆栽。(建築とは関係ないですが) とても喜んで頂けました。

萠菖軒 – myousyouken –

「面白そうだからやってみよう!」
この仕事をさせてもらった理由の半分はそんな不遜な理由からで、後の半分は施主の人柄でした。
きっかけは知人からの紹介でした。
古い町家をリノベーションして、竈を使って薪で炊いたごはんを提供する喫茶店。そんな店を計画してる人がいるのだけど、設計やってみないか と言う話でした。

知人と共に訪れた町家にて、初めて施主と対面しました。
地元の素材を使って地域に貢献したい。おいしい窯焚きごはんを食べてもらいたい。話を聞いているとサバサバとした中にも誠実さ、真剣さが感じられて、施主の夢を建築士という立場から一緒に“かたち”にしたいと思いました。

しかし、思いとは裏腹に建物の方はというと、かなり痛みが激しく、しかも無配慮な改装が繰返されていて、綺麗にすればそのまま使えそうという部分も少ない。申し訳ないが「風情ある町家」とは言えない状況でした。
また、施主も(失礼ですが)それなりの年齢。若いオーナーがこれからどんどん稼いで店を大きくしていこう!という感じではなく、第二の人生、自分の本当に納得できる仕事を背伸びせずにやっていきたいという思いなので、安易に予算は増やさず、使えるものはなるべく使っていこうということになりました。
そういう方針もあって、かなり大胆な割切りを施主に迫ることも度々ありましたが、施主や施工者の協力もあり、また古材と薪材が調和するような納まりや材の選定に頭を絞ってがんばった結果、「120%の出来です!」と建築士冥利に尽きる嬉しい言葉を施主から頂きました。

萠菖軒は窯焚きご飯はもちろんですが、地元食材を使ったおかずもとても美味しいです。(仕事させてもらったから言う訳ではありませんが)
僕も、お昼時はかなり混んでいるので、行くときは早めに行きます。
近所の神社では誠市という骨董市も冬期以外は毎月開催されていますので、市散策がてらに寄ってみても良いかもしれません。

萠菖軒
住所:鯖江市本町3丁目3-2(タケベ無線本店さん北側の細い路地を入ったところ)
電話番号:0778-42-6272
営業時間:11:30~17:00(ごはんの時間は11:30~14:30)
     ※日曜・月曜はお休みです。

35.947702,136.18578