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コラム

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福井で心地よい住まいを形にする設計事務所選びの視点 後編

■設計事務所と進める家づくりの特徴

「敷地の条件を読み解くプランニング」

福井県は比較的一戸あたりの敷地面積の広い地域ではあると思います。ですが、当然隣地建物がなく日当たり等まったく心配しなくても大丈夫。という敷地は少ないです。
冬の日当たりを確認したい場合、敷地を検討している時期が冬至付近であれば現場で状況が分かるかも知れませんが、当然そういう訳にはいきません。(もっとも、冬でも朝から夕方まで現場にいる訳にもいきませんし、居たとしても2階の日当たりなどは分かりません)

弊社ではプラン事に日影図という図を作成して、その敷地のどの部分、どの高さに、どの時間帯に影ができるかを確認して、それから初めて建物の配置や居室をどこに設置するかを検討していきます。つまり、その敷地のどの部分が最も日当たりが良いのかをピンポイントで検証してプランニングしていくので、最適な明るさと日射熱取得ができるのです。逆に言えば、日影図を書いていない設計者は、十分な検討ができていない、またはする気がないとも言えます。(特に接近している隣棟が複数ある場合などは必須です。)

また、人の視線を切ったり借景を活用したり「見せたいものを見せ、見せたくないものを隠す」という一種の常識のようなものですが、そういった当たり前のことを丁寧にプランに反映させながら提案しています。この辺り…特に隠す部分(視線など)については人により大きく感じ方が変わるのでプランによって違いが出てきます。

「確かな性能と意匠性を両立させる工夫」

性能を重視すると意匠性が悪くなると思われるかも知れませんね、これは…半分正解といった感じでしょうか。
もちろん、温熱・構造・耐久性能面から言ってやってはいけない所謂NGディテール等はあります。そういった意味で性能を重視すると選択肢が狭まる可能性はありますが、1か0のロジカルな世界ではないので、例えば温熱的に的には完全に正解ではないけど光熱費や快適度で言ったら誤差範囲、むしろ情緒的要素によりQOLが大きく向上するというもモノも沢山あります。

性能的に正しいことを積み上げていけば性能面では完璧に近い建物ができるかもしれませんが、僕たちは性能の為に住宅を建てたい訳でなく、住まう人たちが快適で豊かな人生を送るための一因になって欲しいと願い設計しています。性能的にしっかりとした裏付けがあって、それをどの程度まで崩しても不具合がでないか。それは理論的理解がしっかり備わっているからこそ出来ることなのです。

また、極端な話でもありますが、もしあなたが資産家であるなら温熱面は快適である必要はあっても経済的である必要は薄いかも知れません。光熱費が安くなる価値(コスパ)より、情緒的価値の方が魅力的になるからです。しかしそのような人は極々少数だと思います。逆に言えば一般的な施主こそ性能に拘りながらも情緒的価値もバランスをとって建てる意味があるという事です。

■福井の夏を快適にする空調設計の考え方

「断熱や気密が高いのは当たり前の大前提」

現在の新築住宅は断熱気密性能に関しては(程度の差はあれ)それなりに高性能なものになっては来ています。ただ、断熱気密の数値(UA値やC値)だけが高くても、住み始めると暑い(寒い)、各部屋で温度ムラがある、湿度が思ったより高い(低い)といった状況が出てきます。

それらは数値だけは高性能だけど、日射取得(遮蔽)、換気・空調計画が十分でなかった為におきた事象であることが殆どです。ただ、逆に空調計画等が十分であっても、ベースとなる断熱気密性能が不十分だとそもそも計画が成り立ちません。

  • 断熱気密性能 → 必要条件(最低限の環境を整えるために不可欠な条件)
  • 空調計画等  → 十分条件(快適な温湿度を得るための条件)

と言えるのかなと思います。
つまり、快適な住環境を確保する為には「十分な空調計画等が必要ですよ。でも、そもそも断熱気密性能がある程度担保されているというのが必須条件です。」という事です。また、必要条件より十分条件の方が圧倒的に設計者の知識やノウハウが必要であるということも付け加えておきます。

「本当に大切なのは適切な湿度コントロール」

上記の「大切」は「難しい」と読み替えても良いかも知れません。湿度をコントロールというと何を思い浮かべるでしょうか?殆どの方はエアコン冷房か除湿器ではないでしょうか。
水分を取り除くという意味ではメインとなるのはこの2つで間違いありません。当事務所では除湿器は推奨していないのでエアコン冷房での除湿をメインとしています。

ただ、コントロールという意味では他にも出来ることはあります。一つは外から入ってくる水分の抑制です。 住宅なので皆さん換気はしていると思います。例えば以下のような環境で、浴室の換気扇を12時間回した場合、どれだけの水分が家の中に入ってくると思いますか?

  • 外気温湿度:27℃ 80%(夏季夜間を想定)
  • 室内温湿度:27℃ 50%
  • 浴室換気扇:100㎥/h 12時間稼働

答えは約9リットルです。
浴室の湿気を外に排出しているつもりで、実に9リットルもの水が流入しているのです。想像してみて下さい。9リットルの水を除湿器で除湿しようと思ったら何回タンクの水を排水する必要があるでしょうか。それも毎日。
当然換気は浴室だけではありません。その他にも24時間換気や調理時の換気もしているので流入量は数倍に膨れ上がりますが、換気方式や運用など適切な換気計画によって、しっかり換気しながらも10~20リットル以上の水分流入を抑制することも可能なのです。

もう一つはエアコンでの除湿の効率化です。当然エアコン冷房での除湿は必須なのですが、エアコン本体というより配置や容量、台数、空調経路という話です。
どのような温湿度の空気をエアコンに給気すれば効率よく除湿できるのか。当然冷房の場合は低温低湿の空気を吸い込んでも効率が悪く、反対に高温高湿の空気を給気した方がより効率が良くなります。そういう意味ではエアコン台数が多いと1台当たりの負荷が減るので、給気する空気も低温低湿になりやすい(あくまで高性能住宅の場合)

高性能住宅の場合は概ねエアコン1台で事足ります。(というか台数を必要以上に増やすと電気代増、除湿量減となる)エアコンから出た冷気がどこを通って空間を冷やして、帰りはどこを通ってエアコンに戻ってくるのか。行きと帰りの空気が混ざってしまわないか?各室の発熱量はどの程度か?そこへの流入量は十分か?そういった空調経路を基本計画の時点で概算計画しているから高効率な除湿ができるのです。

写真は2026年8月26日の自邸の温湿度です。外気温は37℃でした。
一番上の数値が絶対湿度で空気1㎥あたりの水分量です。12g/㎥なので1㎥あたり小さじ2杯強の水分があるという事です。外気絶対湿度は21g/㎥程度なので室内はその半分程度の水分量であると分かると思います。

自邸は事務所兼用なので45坪ありますが、空調計画やエアコンの設定でここまでできます。(断熱等級6、エアコン1台) ちなみに湿度が結構低めなのでこのくらいの水分量なら27℃でも快適な人も多いと思います。(自邸は更年期の妻と多汗症の息子に合わせて低めにしています。僕と娘はちょっと肌寒いくらいです。夏は暑い人に合わせて 他は着衣量で調整するというスタイル。冬は逆に寒い人に合わせ、暑い日とは着衣量で調整)

「各部屋の温度ムラを少なくするためのシミュレーション」

の項で空調経路の話を少ししましたが、前述の通りプランニングの段階で大まかな空調計画を考えます。これは全体の冷暖房能力の確認というより、各室の温度ムラを極力少なくしたいという想いからやっていることです。
一般的な温熱シミュレーションでは空調能力の検討もできますが、エアコンのない部屋の温湿度シミュレーションまでは十分にできません。
同じ住宅でも場所によっては条件が全然違います。
例えば…

  • 大きな窓がある部屋
  • 外気に接している部分が多い部屋(例えば部屋の二面と屋根面、合計三面が外気に接している角部屋)
  • 狭いのに人が多い部屋(子供が小さい時に家族全員で寝る。友達がたくさん来る等)
  • デスクトップPCや大きなモニターが複数ある部屋(仕事部屋など)

外皮の断熱性能自体は同じでも、各部屋発熱量も違えば外気の影響を受ける度合いもマチマチです。これらをある程度想定して、どの程度の温度の風が何㎥/h流入すれば温度をキープできるかを検討して空調計画を立てていくので、温度差の少ない住宅にできるのです。

「時期に合わせた温度差換気(5月・10月)の活用」

引渡しの時に毎回 資料とともに説明していますが、花粉症が酷くなければ5月と10月は窓を開けて温度差換気をお勧めしています。例えば10月になっても夏日(25℃超)が続くので昼はまだ結構暖かいです。高性能住宅の場合、室内はちょっと暑いくらいかも知れません。でも10月も後半になると湿度も下がり、温度も朝は10℃前後になることも珍しくありません。

室温と外気温の差が10℃以上あるので、例えば朝起きて1階と2階の窓をそれぞれ開けると1階から2階の窓に向けてとても気持ちの良い涼しい風が抜けていきます。これは内外の温度差を利用しての換気なので無風でもできます。換気の時間帯にもよるが60分程度の換気で室温は2℃程度下がるので、その後日射遮蔽すれば快適な室温を夜までキープできます。

※温度差換気
2階の暖かく軽い空気が2階窓から外に押し出されるように抜ける。抜けた分1階の窓から外の冷たい空気が入ってくる。
夜間行ってもよいが防犯上1階窓は開けにくいので、その場合2階窓だけでも効果はある。その場合なるべく縦に長い窓の方がより効果が高い。また、寝室窓は開けない。(寝室が寒くなりすぎるので)

ちなみに5月・10月以外の窓開け換気は推奨していません。
もちろん夏場でも風を感じたければ開けてもらっても良いですが、少なくとも閉めてエアコン冷房した方が(普段エアコンが苦手な人でも)快適に暮らせると体感できると思います。また、カビやダニの抑制にもなります。

■まとめ

ここまで読んでくださる方がいるのだろうかと思いながらも長々と書きましたが、読んでくださってありがとうございます。これからも技術をブラッシュアップしながら福井県に最適な住環境を提案していきたいと思っています。 住宅事例の更新が結構滞ってはいますが、また更新していきますのでそちらも覗いていただけると嬉しいです。

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