欅とステンレスの表札 2

前にちょっと検討段階の表札をブログに綴ってましたが、
完成しました。(ずいぶん前ですが…)

自分なりに気合入れて作った表札なので、完成までの工程も含め 改めて紹介しようと思います。
最初に言っておきますが、結構長文です。


まずは字体のデザインから。
ところが、いきなり他人任せになります 笑


字体はグラフィックデザイナーの兄にお願いしていくつか提案してもらうことに。
うむ、商業フォントを持っていないので、ここらへんは致し方あるまい…。
施主と選定協議の上、シンプルな字体に小鳥が乗っているデザインに決定!
にしても小鳥の足、細すぎるだろ。どうするんだろコレ…。


で、今度はそれをベースにモックアップを作ります。
といっても、普段建築模型で使うスチレンボードをカットしただけ。
モックで文字の厚みやベースの板材との間隔や相性など検討します。
過去ブログ参照

今度は欅の板を用意。
前にお世話になった欅専門の製材所が、ちょうど欅の大丸太を加工するというので、
お邪魔して譲ってもらいました(感謝)


割りと大きめにカットしてもらったので、型紙とモックを合わせてどの部分を使うか検討。


表札等の場合、普通は木目が縦に流れるようにカットするんだけど、縮杢のような躍動感のある杢目が気に入って横木目になるようにカットすることに。
ここらへんは施主によっては横木目使いに抵抗を感じるかも知れませんね。


板材の検討と同時にしなきゃならないのが、ステンレス文字のレーザーカットの打合せ。
最初は家具職人経由でスチール加工業者と打合せしてたのだけど、ちょっと変わったことを依頼すると杓子定規な返答しか返ってこず、こちらから「こうしたら出来るのでは?」と提案しても「出来ない」と言うばかり。
内心、出来ないわけがないだろう コンチクショウ!と思っていたので、別の業者を探すことに…。
そこで、いつもスチール手摺や階段を作ってもらっている、The trunk の矢原さんに相談。
「出来ますよ。」と即答。
ありがとうございます!矢原さん。

で、出来上がったステンレス切り文字

こうして見ると、なんだか前衛芸術作品みたいな…。
表札の設置場所は横から見られることもある場所なので、文字を支えるピンはなるべく細く、少なくしてもらいました。


木工所でカット、研磨してもらったベース板と合わせてバランスを確認しながら文字の配置を最終確認。


と、地味に色々な工程を経て やっとこさ完成です。
なかなか良い出来なので、事務所の壁に設置して撮影してみました。


欅の赤太とステンレスのコントラストがきれい。


レーザーカットで苦労した小鳥も 躍動感のある杢目と相まってよい感じです。
文字は5mm厚だけど、小鳥は3mm厚。
この厚みを変えるのがなかなか難儀しました(難儀したのは僕じゃないけど)
全部5mm厚で作れば楽なんですけど、それだと のっぺらした感じになって、小鳥が文字の上に乗ってる感じがしないんですよね(写真で分かりづらいけれど)
小さいことだけど、個人的には5mmで作るくらいなら、ステンレス切り文字じゃなくて他の方法やデザインに変更してたと思う。


ふむふむ、文字の厚みや陰影もモックで検討したかいもあってちょうどいい…と一人で悦に入る。


後日、施主宅に納品させてもらって、とっても喜んでもらいました。

こういう小物系ははっきり言って、全く利益はでないけど なぜか張り切ってしまう。
小さいからこそアラも目立つし、まして間近で見ることになるので妥協はしたくない。
まぁ、これに関してはほとんど個人的な自己満足です。
プロとしてはどうなんだろうかと思いながらも、施主の嬉しそうな顔を見ると、まぁいいやと思ってしまうのです。
困ったものだ。本当に。

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